公開: 2023年4月2日
更新: 2023年4月25日
これまで、日本社会における大学入学選抜では、入学志望者がそれまでの教育で学んだ知識の質と量を評価する、ベーバー試験を中心とした方法が一般的でした。特に、受験生が多い試験の場合、予め番号が印刷された紙に、鉛筆で、最も正しそうな解答に相当する番号を選び、その番号を黒く塗りつぶす、マークシート方式が採用されています。この場合、塗りつぶす番号は、一つだけです。
このやり方は、4つまたは5つ程度の、問題に示された答えの候補の中から、1つを選ぶやり方です。つまり、選択肢が4づあれば、どれか一つを選ぶので、正解になる確率は4分の1であり、選択肢が5つであれば、その確率は5分の1になります。このことから、そのような問題の解答から、正答率を計算しても、その正答率が受験者個人の知識の量と質を表しているとは言えません。
米国社会でのマークシート方式の試験では、選択肢の中にいくつ正しい答えがあるかが指定されておらず、正しい記述全てを正確に指摘できなければ、正解として評価されず、さらに、正しくないものを正解とした場合には、減点されると言うやり方も多く、受験者の知識の量と質をより正確に評価する工夫がされています。これは、加点・減点方式と呼ばれるやり方です。
このようなことから、日本の試験では、正しい答えを知らなくても、選択肢のどれかを選んでおく、と言う「受験技術」を習得していれば、結果として有利になります。「受験技術」を知らずに、答えが分からないと言う理由で、解答しない受験者の場合は、解答しない問題は不正解と判定され、総合的な評価が低くなると言う問題があります。このような問題の発生を予防するのが、加点・減点方式です。
日本社会で実施される試験で、このような加点・減点方式が使われない主な理由は、これを導入すると、受験生全体の評価が低くなるからです。それは、当落線上に数多くの受験者がいる場合、正解を理解している人と、正解は知らずに答えた人との間の、線引きがはっきりするので、低い点数に多くの人が集まり、合格者の判定が難しくなるからです。日本社会では、一見、「客観的に見える」やり方が好まれる傾向が強く、この方法が好まれれています。しかし、よく考えると、当落線上に集中している受験者の間て、合格する受験者は、能力ではなく、偶然によって合格しているのです。